ベターマン

話 -story-

十一夜 霧-nebula-

 蟲の悪夢にうなされるケータ。それぞれの神経が、限界に近づいていた。日本の半分以上が霧に包まれている、異常な日々。交通機関もストップして、退職して田舎に帰ろうとしたりっちゃんも、アカマツ工業へ戻ってくる。
 家族を捜すためにヘッドダイバーになったヒノキにとっても、もはやこれ以上の異常事態に耐えることはできなかった。二度とニューロノイドには乗らないと、ヒノキはケータに告げる。ケータもまたそれを当然と考え、家族捜しに協力することを約束するのだった。
 こうして、アカマツ工業はモーディワープとの契約を打ち切ることになった。ケータとヒノキの後任のヘッドダイバーも決まり、後は三日後の引き継ぎを残すのみだ。
 そして、アサミは一連の謎の生物──UMAが遺伝子操作の産物と考え、北海道へ飛ぶ。釧路に存在するモーディワープの姉妹機関・生工食糧研究所(B.P.L.)の研究主幹である、梅崎博士に意見を求めようというのだ。
 覚醒人とティランの引き渡しのため、ホタルイカへ向かうケータたち。危険と縁が切れるとあって嬉しいはずだが、どこか寂しさがよぎる。その頃、アサミはまだ北海道にいた。世界の食糧事情を支えている梅崎博士は、蟲を貪り食うなど異様な行動をとっている。だが、博士と話しているうちにアサミもまた、蟲を食らうようになっていく。
 そして、ホタルイカのケータたちのもとへ、B.P.L.が外部と音信不通になり、アサミの消息が途絶えたとの連絡がもたらされる……。

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